fc2ブログ


第2回 大阪高低差大学・上町台地の凸凹地形を理解する

20:15

第2回 大阪高低差大学のご案内

たくさんの参加申込みをありがとうございました。定員に達しましたので、6月1日19時で申込み受付を終了しました。10月にも第3回目を予定しております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
6月1日19時00分までに申し込んでいる方で、申込み番号のメールが届いていない方は迷惑メールに入っていないかご確認ください。それでもメールが届いていない場合はご連絡いただけますでしょうか。連絡先: koteisadaigaku@gmail.com

大阪高低差大学とは、学校では教わらなかった大阪・京都・阪神間・奈良の地形の成り立ちと歴史との関係を理解することを目的とした学びの場です。第1回のテーマは「大阪をアースダイバー視点で理解する」で、大阪平野のなりたちや文化や人の交流が東西軸で発展していった意味などを地形図を眺めながら考え学ぶ講義を予定しています。

第2回目のテーマは
「上町台地の凸凹地形を理解する」


上町台地は、古代には仁徳天皇や孝徳天皇が宮殿を置き、中国大陸との交流が深まると使者を迎える港や施設が整備されてヤマト政権のゲートウェイ(玄関口)として機能しました。戦国時代は織田信長が日本一の土地だといい、天下人となった豊臣秀吉は難攻不落の城を築いて商業の町として発展させました。大阪の歴史にとどまらず、日本の歴史においても母なる台地といっても過言ではないかもしれません。そんな上町台地にはいたるところに不可解な凸凹地形が残っています。どこにどのような凸凹地形があり、それらにはどのような歴史が隠されているのか。上町台地の凸凹地形の謎に迫り、理解を深めるための講義です。当日は「上町台地フィールドワークマップ(大阪実測図バージョン)」を配布予定。実際にご自身の足でフィールドワークをし理解を深めていただければと思います。


開催日時:8月27日(日)
会場:大阪市立総合生涯学習センター(梅田)・第1研修室
(大阪駅前第2ビル5階)

住所:大阪市北区梅田1-2-2-500
講師:新之介(大阪高低差学会代表)プロフィール
定員:100名(先着順申し込み)
時間:13:30〜15:30頃 (13:10会場予定)
参加費:3000円(税込)
上町台地フィールドワークマップ(大阪実測図バージョン)・記念のおまけ付き

当日会場で現金でお支払いください
6月1日(木)13時より メールでの申し込み受付を開始します。

sanka2.jpg

申し込み方法:メールで件名を「第2回参加希望」とし、
名前:○○○○
メールアドレス:xxxx@xxx.xx.xx
を書いて送ってください。1メールにつき申し込みは1名まで。
複数名参加の場合は複数回メールをしてください。
返信メールで【 申し込み番号 】をお知らせいたします。
当日はその【 申し込み番号 】とお名前で受付いたします。
申し込み番号は忘れないようにしてくださいね。

申し込み先: koteisadaigaku@gmail.com (大阪高低差大学事務室)
定員になり次第、申し込み受付は締め切ります。


6月1日(木)13時より
メールでの申し込み受付を開始します。

第2回

blog_1.jpg

blog_7.jpg
※上町台地フィールドワークマップ(大阪実測図バージョン)は制作中です。実測図は明治18〜19年頃に測量されたもので、江戸時代の名残りが各所に残っています。数ある大坂の古地図とは違い当時の大坂がリアルにわかる地図です。

スポンサーサイト




大阪高低差大学開校・アースダイバー大阪

23:10

大阪高低差大学 開校

たくさんの参加申込みをありがとうございました。定員に達しましたので、4/4午前11時で申込み受付を終了しました。8月にも第2回目を予定しております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。


dai1_001.jpg

大阪高低差大学とは、学校では教わらなかったであろう大阪・京都・阪神間・奈良の地形の成り立ちと歴史との関係を理解することを目的とした学びの場です。リスキリングやリカレントなど学び直しが注目されている世の中ですが、私たちが暮らしている町のなりたちをわかりやすく理解を深めていければと思っています。

授業はリアルな講義とし、1回の講義は2時間程度、全部で5回を想定しています。

第1回目のテーマは
「大阪をアースダイバー視点で理解する」

アースダイバーとは、中沢新一氏の著書のタイトルですが、縄文時代の地図を持って町を散策し、様々な発見して町の成り立ちなどを紐解いていくことだと私は解釈しています。大阪高低差学会の立ち上げも、中沢新一氏にお会いした時に、私、新之介にかけていただいた「大阪の地形を盛り上げてよ」という激励の言葉がきっかけでした。大阪高低差学会は、アースダイビングを実践する場でもあったのです。そこで、大阪高低差大学の第1回目のテーマは、アースダイバー視点で大阪の成り立ちを紐解いていきたいと思います。当日は講義の後に質疑応答・ディスカッションをしながら、理解を深めていただきたいと思っています。

開催日時:6月18日(日)
会場:大阪市立総合生涯学習センター(梅田)・第1研修室
(大阪駅前第2ビル5階)

住所:大阪市北区梅田1-2-2-500
講師:新之介(大阪高低差学会代表)プロフィール
定員:100名(先着順申し込み)
時間:13:30〜15:30頃 (13:10会場予定)
参加費:3000円(税込)資料・記念のおまけ付き
当日会場で現金でお支払いください

sanka.jpg


申し込み方法:メールで件名を「第1回参加希望」とし、
名前:○○○○
メールアドレス:xxxx@xxx.xx.xx
を書いて送ってください。1メールにつき申し込みは1名まで。
複数名参加の場合は複数回メールをしてください。
返信メールで【 申し込み番号 】をお知らせいたします。
当日はその【 申し込み番号 】とお名前で受付いたします。
ナンバーは忘れないようにしてくださいね。

申し込み先:koteisadaigaku@gmail.com(大阪高低差大学事務室)
定員になり次第、申し込み受付は締め切ります。


4月3日(月)13時より
メールでの申し込み受付を開始します。

25_3.jpg

第1回の講義では、現在も残る地形の痕跡から大阪平野のなりたちやプレートテクトニクスの仕組み、地質などを学び、天満砂州や梅田粘土層、難波津・巨大古墳群など古代地形の謎を紐解いていきます。ヤマト政権のはじまりから古墳時代、中世、戦国時代、近代へと歴史の表舞台になったナニワの土地の魅力を探っていきます。

(配布資料)
sasshi.jpg

2023年度のシラバス(今後の予定)
syllabus_2023.jpg
PDFへアクセス

【追記 4/4 _1:10】現在までに80名以上の申し込みがあり受付番号をメールいたしました。申し込んでいるのにメールが届いていない方は迷惑メールに入っていないかご確認ください。それでもメールが届いていない場合はご連絡いただけますでしょうか。連絡先: koteisadaigaku@gmail.com


甲山自然学習館の岩石標本

21:09

甲山自然学習館の岩石標本

西宮市にある甲山自然環境センター・甲山自然の家・甲山自然学習館の敷地内に岩石標本があります。学生時代に覚えたはずの火成岩や堆積岩、変成岩などを改めて理解するために写真を撮ってきました。それらをざっとみていきたいと思います。

IMG_1230.jpeg
岩石標本は、もともと旧西宮市立芦原小学校にあったもので西宮市立総合教育センターに引きつがれ、2022年に甲山自然環境センターに移設されました。

IMG_1150.jpeg
展示している岩石標本の全体です。学校で学んだであろう岩石の種類を整理すると、大きく「火成岩」「堆積岩」「変成岩」に分けられます。

IMG_1156.jpeg
「火成岩はマグマ が地下深くでゆっくり冷えて固まった「深成岩」とマグマが地表または地下の浅いところで急速に固まった「火山岩」に分けられます。「深成岩」には「花崗岩・閃緑岩・斑れい岩」が、「火山岩」には「流紋岩・安山岩・玄武岩」などがあります。それらは学校では色の違い(白っぽいものから黒っぽいものまで)などで覚えた方もいるのではないでしょうか。

IMG_1158.jpeg
「堆積岩」は「岩石起源」のものと「生物起源」のものに分けられますが、「岩石起源」のものは「礫岩・砂岩・泥岩・凝灰岩」など、「生物起源」のものは「石灰岩・チャートなどがあります。「変成岩」は、マグマの熱を受けて変成した「ホルンフェルス」や地下深くで熱と圧縮を受けて変成した「片岩・蛇紋岩」などに分けられます。

さぁ、具体的にそれらの火山岩を一気にみていきましょう。

IMG_0998.jpeg
布引花崗岩と六甲花崗岩
花崗岩とは地下深くでマグマが数10万~数100万年くらいかけてゆっくり冷えて固まってできたもの。

IMG_0982.jpeg
布引花崗岩の断面のアップ
白色は斜長石とカリ長石、透明感のある鉱物は石英、黒色は黒雲母と角閃石です。

IMG_0985.jpeg
六甲花崗岩の断面のアップ
六甲花崗岩はピンク色のカリ長石を多くふくみ赤っぽい色が特徴です。

IMG_1212.jpeg
巨晶花崗岩

IMG_1214.jpeg
巨晶花崗岩の拡大
石英などの結晶が大きいのが特徴です。

IMG_1191.jpeg
閃緑岩(せんりょくがん)

IMG_1194.jpeg
閃緑岩のアップ
花崗岩と斑れい岩のほぼ中間のような組成を持つ岩石で、黒い部分は角閃石や黒雲母など、白い部分は斜長石などです。

IMG_1187.jpeg
斑れい岩

IMG_1174.jpeg
斑れい岩のアップ
黒っぽいのが特徴。

IMG_1181.jpeg
斑れい岩のアップ
黒い部分は角閃石や輝石類などで白い部分は少なく斜長石などです

IMG_1034.jpeg
流紋岩
流紋岩はマグマが流れながら冷えて固まってできたもので、その流れがしま模様になったものをいいますが、火砕流堆積物としての流紋岩もあります。

IMG_1032.jpeg
流紋岩のアップ
これは後者の流紋岩で、白いアルカリ長石や斜長石、石英のなどの粒が点々と入っています。大きな礫は火山爆発で砕かれた石のかけらでしょうか。

IMG_1220.jpeg
安山岩
安山岩はマグマが地表付近で急に冷えて固まってできたものです。

IMG_1217.jpeg
甲山安山岩
甲山周辺で多くみられる安山岩で、約1200万年前にマグマが噴出した時の火道で固まったものと思われます。侵食によりそのほとんどはなくなりましたが、甲山は火道の一部が地表に現れているものだと言われています。

IMG_1216.jpeg
讃岐石(安山岩)
讃岐石はサヌカイトといわれるもので、マグマが地下の浅い所あるいは地表で急激に冷やされ、鉱物の結晶が成長する間もなく固結したため、細かい結晶あるいはガラス質になったものといわれています。安山岩になります。

IMG_1001.jpeg
玄武岩(溶岩・中心部と火山弾)
玄武岩は火山活動によりマグマが地表付近で急に冷えて固まってできたものです。火山弾は火口から放出されたもので、空中を飛んでいる間または着地時に固まったものだそうです。はじめてみました。

IMG_1004.jpeg
玄武岩(溶岩・周辺部)
右側の玄武岩は丸い小さな孔が見えますが、マグマに含まれていた水分などが発砲し抜けた孔かもしれません。

IMG_1007.jpeg
玄武岩

岩石の成分
鉱物の割合や色の違いなどで表した火成岩の分類表です。

ここからが堆積岩です。
IMG_1117.jpeg
礫岩

IMG_1122.jpeg
礫岩のアップ
川の流れなどで角が丸くなった礫が堆積し固まったものです。

IMG_1110.jpeg
砂岩

IMG_1115.jpeg
砂岩のアップ
砂が長い年月をかけて固まり岩石になったものです。

IMG_1108.jpeg
泥岩

IMG_1107.jpeg
泥岩のアップ
海底や湖沼底などに堆積した泥(シルト・粘土)が、脱水固結して岩石となったものです。

IMG_1096.jpeg
凝灰岩

IMG_1103.jpeg
凝灰岩のアップ
凝灰岩の火山灰などが堆積し岩石になったものです。

IMG_1099.jpeg
凝灰岩のアップ

IMG_1081.jpeg
石灰岩

IMG_1085.jpeg
石灰岩のアップ
石灰岩は、サンゴ礁やその周辺の堆積物によってできた岩石です。海洋プレートの移動とともに大陸に付加されたものです。

IMG_1095.jpeg
チャート

IMG_1090.jpeg
チャートのアップ
チャートは、深海で堆積した放散虫などの死骸が堆積してできたもので、海洋プレートの移動とともに大陸に付加された付加体でもあります。

IMG_1126.jpeg
チャートの礫
生物起源のものとそうでないものがあり、前者は主に放散虫などのシリカの殻を持つ微生物の死骸が遠洋深海底で堆積したもの、非生物起源ものは水中での熱水活動に伴って放出されたシリカが積もったものです。いろんな色があるのも特徴ですね。

IMG_1080.jpeg
ホルンフェルス

IMG_1079.jpeg
ホルンフェルスの拡大
ホルンフェルスは泥岩や砂岩などの堆積岩が熱による変成した岩石で硬いのが特徴です。

IMG_1069.jpeg
白雲母片岩

IMG_1070.jpeg
白雲母片岩の拡大
白雲母を多く含んだ片岩で、片岩とは地下深くで高い温度と圧力を受けて薄い板状に配列し、薄く割れる特徴があります。

IMG_1054.jpeg
緑泥石片岩

IMG_1061.jpeg
緑泥石片岩のアップ
緑色ないし黒緑色で、ガラス光沢または真珠光沢がある。圧力を受けた際にできた片理に沿ってうすくはげるように割れる特徴があります。

IMG_1049.jpeg
紅簾石片岩

IMG_1074.jpeg
紅簾石片岩の拡大
紅簾(こうれん)石を含み、曹長石、白雲母、方解石、赤鉄鉱、石英などを主成分とする珪質の結晶片岩です。

IMG_1046.jpeg
紅簾石片岩のアップ
圧力を受けた際にできた片理に沿ってうすくはげるように割れる特徴があります。

IMG_1051.jpeg
蛇紋岩

IMG_1038.jpeg
蛇紋岩の断面のアップ
かんらん岩が地下深部で水分の作用を受けて変質してできたもの。岩石の表面に蛇のような紋様が見られることから、蛇紋岩と名付けられました。


その他の珍しい岩石
IMG_1128.jpeg
珪化木

IMG_1131.jpeg
珪化木
樹木が地中に埋没し硬い珪質岩になったものです。状態がいいので年輪も残っていますね。

IMG_1233.jpeg
六甲花崗岩と甲山安山岩の接触岩

IMG_1237.jpeg
左が六甲花崗岩で右が甲山安山岩。花崗岩の割れ目を突き破ってマグマが吹き出した時に溶岩が花崗岩を取り込んで固まった岩。捕獲岩とも呼ばれています。

IMG_1231.jpeg
岩石の標本以外にも兵庫県の地質や地形の成り立ち、甲山のなりたちなどを詳しく解説していますので、岩石の学びの場としてはいい場所だと思います。



天王寺・てんのうじ再発見セミナーのお知らせ

12:00

2022てんのうじ再発見セミナー
天王寺区歴史と文化

講演会のお知らせ
天王寺区役所からお声がけいただいた講演会とまち歩きのイベントのご紹介です。私は講演会の第2部に参加いたします。詳しくは下記チラシ等を御覧ください。

bira_tennoji.jpg

日時:令和5年2月5日(日曜日)13時~16時(開場12時30分)

場所:天王寺区役所3階講堂(天王寺区真法院町20‐33)

●第1部 13時から
 演題「天王寺区・名水の痕跡を探る」
 講師 大阪城天守閣館長 宮本 裕次氏

●第2部 14時30分から
演題:「天王寺区・凸凹地形の謎を紐解く」
講師: 大阪高低差学会代表 新之介

定員:100名(申込多数の場合抽選)

申込方法
下記『オンライン申込フォーム』に記載しておりますQRコードを読み取り、申込フォームよりお手続きください。または、はがきかファックスに、代表者の氏名、住所、電話番号、参加人数(2名まで)、参加希望(講演会のみorまちあるきのみor両方)を記載のうえお申し込みください。どちらか片方のみの参加でも、
参加費は一律お一人500円になります。

申込先(はがき・FAX)
・宛先:天王寺区役所市民協働課「再発見セミナー」
・はがき:〒543-8501大阪市天王寺区真法院町20-33
・ファックス:06-6774-9692
申込締切:1月13日(金)(ハガキの場合は当日消印有効)

オンライン申込フォーム(大阪市行政オンラインシステム)
下記QRコードよりお申し込みください。(申込フォームURL別ウィンドウで開く

QR_tennoji.png
↑大阪市行政オンラインシステムです。

「天王寺区広報紙」12月号の表紙はステキです!
12月1日より配布予定

IMG_9227_20221130114720b8b.jpeg
「天王寺区広報紙」12月号の表紙は、なんと国土地理院のデジタル標高地形図です。

IMG_9222.jpeg
私が地形散歩をはじめたのもこの地形図が最初でした。上町台地の先端部の高低差がよくわかります。

IMG_9221.jpeg
アップで見るのも楽しい。ここは茶臼山のあたり。河底池から東西に窪地が細長く続いているのがよくわかります。いわゆる和気清麻呂が開削した痕跡だと言われています。

IMG_9223_202211301147280d4.jpeg
船場周辺も東側は少し標高が高いですよね。東横堀を開削する前は上町台地と地続きだったのでしょう。さらに時代を遡れば東横堀はラグーンがあった地形の比較的やらかい土地を削ったと思われます。

IMG_9225.jpeg
「天王寺区広報紙」12月号の巻頭には新之介のインタビュー記事もあったりします。
天王寺区役所の他に、天王寺サービスカウンター・天王寺区民センター・クレオ大阪中央・地下鉄天王寺駅・四天王寺前夕陽ヶ丘駅・谷町九丁目駅・鶴橋駅・玉造駅・JR天王寺駅・寺田町駅・桃谷駅・鶴橋駅・玉造駅・天王寺区内の大阪信用金庫・玉造日之出通南商店街・阪急オアシス桃坂店・アプロ夕陽丘店・ライフ四天王寺店・寺田町店・清水谷店・デイリーカナート玉造店などにも置かれているようです。いい地図ですので保存版として表紙だけでも残しておく価値はあると思いますよ。






大阪船場と上町台地北端部の地形のなりたち

01:50

大阪市文化財協会(旧称:大阪文化財研究所)の「大阪上町台地の総合的研究」で発表された古地理図を利用して上町台地北端部と船場(せんば)周辺の地形の変遷をできるだけわかりやすく解説したいと思います。地形の変遷を眺めていると船場にある「鰻谷」や「丼池(どぶいけ)」などの地名の由来が見えてくるかもしれません。

_1.jpg
弥生時代後期~終末期の古地理図です。
上町台地の西側に細長い砂州Aと砂州Bが堆積し、その間の窪地にラグーン(潟湖)が形成されています。砂州Aの北端には砂や礫が堆積して浜堤が形成され周囲より一段高くなっていたようです。上町台地の東側は平野川の河口に位置し砂州が形成され周辺はアシなどが生茂る低湿地帯でした。森の宮遺跡の貝塚がある辺りには縄文時代から続く集落があったようです。

_2.jpg
弥生時代後期~終末期の古地理図に埋没谷を重ねてみました。現在はほとんどが埋められてなくなっていますが、かつては凸凹地形が密集した場所でした。

_3.jpg
古墳時代後期の古地理図です。
上町台地北端部の平坦な土地に法円坂倉庫群がつくられました。ヤマト政権が中国や朝鮮半島との交流が盛んだった時代でもあるのでそれらに関わる倉庫群であったと思われます。ラグーンに港があったと考えられ荷揚げする場所がどこかにあったのでしょう。このラグーンは穏やかで港にするには最適な場所でしたが、北側が土砂などによって堰き止められた可能性が指摘されています。難波の堀江は、上町台地東側の低地の排水不良を解消するために人工的に掘られたと考えられている堀江で、侵食によって川幅が拡張された景観が描かれています。

_4.jpg
飛鳥〜奈良時代の古地理図です。
上町台地の北端部に難波宮が置かれました。台地上は平坦な土地が少なかったので谷が少しずつ埋められていきます。ラグーンが堰き止められて上町台地の谷筋から流れてくる水が溢れて西側に流れ出しました。そこに入江がつくられたと考えられています。道修町付近にあった入江なので道修町入江と呼びます。国際的な湾港であった難波津の場所はいまだに確定されていませんが、三津寺付近にあったという説や高麗橋付近という説が有名ですが、この古地理図では道修町入江に港湾施設があったのではという考えが盛り込まれています。この辺りの地形は、淀川と大和川からの土砂が大量に流れ込むエリアなので、難波津の場所は時代によって移動していったと考えることもできるかもしれませんね。これは新之介説です。

_5.jpg
中世後半の室町時代の古地理図です。
上町台地の北端部には大坂本願寺の寺内町が形成され、大川沿いには渡辺津が発展します。この地は水軍・武士団であった渡辺党の本拠地でもありました。船場の辺りは、砂州が堆積して津村や三津村の集落が形成されています。津は港を意味しますので、津村も三津村もはじまりは漁村だったのでしょう。集落の周辺は畠地だったと思われます。

_6.jpg
豊臣後期(1598〜1615年)の古地理図です。
上町台地北端部の谷地形は盛り土などでことごとく改変されました。惣構堀も完成した状態です。東横堀はラグーンを利用して掘られ、東側は猫間川を利用して惣構堀がつくられました。南惣構堀の東側は清水谷の自然地形を利用してつくられています。船場エリアは、北側の標高が比較的高くて安定した場所に家々が建ち並び、南側はまだ家を建てるには不向きな低湿地帯が多く残っていたと思われます。大坂の陣の後に堀川がたくさん掘られますが、それらは土地を嵩上げすることが主な目的でもありました。船場には丼池(どぶいけ)や鰻谷(うなぎだに)といった珍しい地名がありますが、その場所をプロットして過去の地形に重ねたのが次の画像です。

_7.jpg
丼池は難波薬師という寺の境内にあった池の名で、水が溜まりやすい窪地はラグーンの痕跡だったのかも。鰻谷は、砂州と砂州の間にできた細長い谷間がウナギのように長かったので鰻谷となったのかもしれません。三津寺は、御津(みつ)が由来で、日本書紀や万葉集にも港として御津が出てきます。大阪湾側に形成されたラグーンにできた港が難波津だったのでしょうか?北浜は大川沿いの北の浜が地名の由来で古代にできた砂州の高まり。このように地形の変遷を眺めながら地名の由来を探っていくのも面白いかもしれませんね。





最新記事